今日も、恋する電車。
ゆっくりと電車の扉がひらいた。
茜は、両手でスカートを握りしめる。強くにぎりしめすぎて、スカートに皺が出来たが、構わずぎゅっとつかんだ。

「あのさ、みずし…」
「今日、あの子乗ってこないな」

茜は顔をあげた。
確かに車内には、いつも乗ってくるワンピースの少女の姿が見あたらなかった。
「他の車両に乗っているか、次の電車かもしれないよ?」

スカートの皺を手でのばすが、なかなか皺は簡単に取れてはくれない。一度ついた皺はなかなか元にもどらないのだ。
一度出来た芽生えた想いが、なかなか変わらないように。

保はこの前の少年のように落ち着きなく、まわりを見わたしはじめる。

そんな姿を見たくなくて口を茜が開きかけると、保が急に立ち上がった。
「ごめん、ちょっといい?」

保は席を立つと、隣の車両に向かった。茜は無言で、少女を探しにいった保の背中を見送った。



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