今日も、恋する電車。
だから、その隣は他の人に譲りたくなかった。

「結、あ、あたし、がんばってみる」

ペースをあげても、もう追いつかないかもしれない。けど恋にゴールはない。出来ることから、あきらめないで走ってみよう。そう茜は決意した。

大会当日。
天気は快晴。絶好のスポーツ日和である。

タンクトップに、短パン。そして運動靴。
茜にとっての勝負服を身にまとい、グランドに立った。
大会といっても予選なので観戦席はあまり人がいない。とんとんと右脚を曲げ、足先を地面に叩き、靴をきちんと履き直す。
出番までは、まだ少し時間がある。
全身がしびれるとようにびりびりとしびれはじめた。指先が小刻みに震え、茜は笑った。緊張している。その事実が、なぜかおかしかった。




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