エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
こうやって人込みの中に出たのも久しぶりなら、家族連れで賑わうショッピングモールを訪れるのも初めてかもしれない。

でもそれを言うなら弥生の方がもっとなのでかなり驚いた様子だ。

「でも大丈夫ですか?こんなに人目につく場所を堂々と歩いたり、車も目立つし…。」

「大丈夫!わざと裏をかいてるから。それに君に服を買わなきゃ。目立たないけどそれは血がついてるよ。」

弥生はアイツの耳に噛み付いた事を思い出したのだろう。

「……そうですね。」

と力なく言った。

「あんまり気にするな。大丈夫だよ病院に連れていったんだから…。」

組織に10年以上いた俺には仲間が今頃、責任を取らされているだろうと容易に想像ついたが、まさか弥生には言えない。

「よし!あそこで服を見よう。」

と一軒のレディスショップに弥生を連れて行った。


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