ことばのスケッチ
「実は、女性の話から無礼講の世界に話が展開しまして」と、私はその女性をさらに二人の仲へと引き入れた。
「難しそうなお話ですこと」と、その女性は興味深く身を乗り出してきた。
「つまり、平たく言えば互いに心を割った、ナアナアの仲ですよ」と、私は話が良く見えるように隙間をあけた。
「そうですね、そういう仲はとても住みやすいですよね」と、その女性はすらりと入る。
「問題は、気に入った仲だけでなく、気に入らない人に対してもそうできるのが、無礼講の世界でして」と、無礼講の世界の真髄に引き入れる。
「そのようにできれば、益々世間が広くなって住みやすいですね」と、その女性は自分にも思い当たることがあるかのような、軽やかな笑顔を見せた。
「彼と私の中はナアナアの仲ですが、貴方とは初対面でして」と、私は具体的な問題を提示する。
「はい」
「だけど、初対面のような気がしないのは何故かと言うことです」と、私はさらに話を具体的にし、その女性を無礼講の世界へと誘導した。
「このような仕事をしておりますと、いろんな方がいらっしゃいます」
「そりゃそうでしょう」
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