ことばのスケッチ
そんなことを思いながら、吊革の前の人の顔を見る。気付かれないようにそーっとね。小学生は扉の周りに立って、四五人のかたまりで楽しそうに話している。私は目を細めてその様子を眺めていた。三つ先の駅で乗客の乗り降りがあった。この駅は、海岸へ向かう支線があることをすっかり忘れていた。私の前の人は降りなかったが、隣の吊革の所の人が降りた。隣りの吊革には若い女性が掴まっていた。降りた若い男性は、あのホームで先を競って、座席を確保した人であった。吊革に掴まりこう思った。