ことばのスケッチ
(4)
引き続き、時と共に備わる根性について、孫と語り合うことにしょう。
時間がくれば、口に液体が入り、お尻を綺麗にしてくれる。どうやら、この世には時間というものがあるらしい。以前のような原因と結果から来る生理的ないらいらはなくなった。まだぎこちないところはあるが、このごろは寝返りもできるようになった。寝返りすると、自分の顔に触るものがあるので、思い切り顔を持ち上げる。亀を仰向けにひっくり返したように、手足を動かしても空を切り思うようにはいかない。背筋を使って海老のように体をそらせているのも限界がある。何とかして欲しいと救いを求めたら、即座に私の体が仰向けにひっくり返された。自分で寝返りができるという快感に、また寝返りを打つ。最初の内は寝返りを打つと即座にひっくり返されたが、最近はそうはいかなくなった。
「最近寝返りできるようになったんですよ」
「どれ、どれ」と、婆が覗き込む。
「おお、上手々」
「お母さん、そのままにしておいて」
「だって、可愛そうじゃない」
《何とかしてくれよ!》
「顔を真赤にしてるわよ」
「座布団の角に寄せてみて」
「どれ、どれ」
引き続き、時と共に備わる根性について、孫と語り合うことにしょう。
時間がくれば、口に液体が入り、お尻を綺麗にしてくれる。どうやら、この世には時間というものがあるらしい。以前のような原因と結果から来る生理的ないらいらはなくなった。まだぎこちないところはあるが、このごろは寝返りもできるようになった。寝返りすると、自分の顔に触るものがあるので、思い切り顔を持ち上げる。亀を仰向けにひっくり返したように、手足を動かしても空を切り思うようにはいかない。背筋を使って海老のように体をそらせているのも限界がある。何とかして欲しいと救いを求めたら、即座に私の体が仰向けにひっくり返された。自分で寝返りができるという快感に、また寝返りを打つ。最初の内は寝返りを打つと即座にひっくり返されたが、最近はそうはいかなくなった。
「最近寝返りできるようになったんですよ」
「どれ、どれ」と、婆が覗き込む。
「おお、上手々」
「お母さん、そのままにしておいて」
「だって、可愛そうじゃない」
《何とかしてくれよ!》
「顔を真赤にしてるわよ」
「座布団の角に寄せてみて」
「どれ、どれ」