ことばのスケッチ
奴はそれを受け取ってバケツの中に入れる。ユキはその容器をもってまた水を汲みに行き、無言のまま奴の前に差し出す。お世辞ではない。まだ、話し方の不自由なユキにとっては、強そな奴に話し掛ける最良の『ことば』なのである。無言ではあるが、二人の間には関りができる。暫くこの関係を続けたが、奴は飽きたのかぷいっと消えた。ユキはすぐさまバケツの中に手を入れて、奴のやっていた通りに砂をこね、団子を作る。幸いにして、不純物であり不自然な親の介入がない。