ことばのスケッチ
挨拶と言う一つの儀式が終わった。本人もやる気はあるようだ。一つの課を集めて、一人一人自分を紹介させ、自分は今何をやっているのか、感想と意見を述べさせた。当然、彼よりも年上の者もいれば、超ベテランもいる。ここでひとつ締めておかなければとの意気込みが感じられる。頭が切れているのであろう、二三日で早速マニュアルを作成し、
「例え私の考えが間違っていても、従って欲しい」と、第一声を吐いた。
 先輩から後輩へと、長年築きあげて来た客先への対応とか、互いの信頼関係の産物としての仕事の内容が、何処へやら消えていった。まあ、そうは長続きするまいと、従うことにした。
「客先に合うときには、必ず私が出るからそのつもりで」と、年配者や超ベテランを掌中に収める。早速信頼関係にある超ベテランの担当者に電話があり、客先に同行してもらった。
「私は、これこれしかじかの者でして、」と、ひとしきり自分の経歴に重きを置いた自己紹介をして、一人一人に名刺を渡す。
「どうぞよろしく」と、客先も一応の挨拶をする。
「官庁には、太いパイプで繋がっていますから」と、蓑を着る。
< 85 / 177 >

この作品をシェア

pagetop