姫華伝
「期待を裏切って悪いけど、私も行きたいわ。」



「あぁ!?」



香奈まで、んなこと言うのか!?



「だって気になるじゃない。男子棟がどんなか。私まだ、入学して一度も男子棟に行ったことないわ。」



普通はねぇよ!!!



「とにかく、ダメだ!!あたし1人で行ってくっから!!!2人はおとなしく教室で待ってろ!!!」



あたしは、教室を飛び出した。



でも、このとき、香奈が何か言った気がした・・・
それを、ちゃんと聞いていればよかったのかもしれない。





コツコツコツ。



あたしは、無残に荒れた男子棟の廊下を金ちゃんに渡された書類をユラユラさせながら歩いていた。



ってか、紹介が遅れたけど金ちゃん、本名・金子龍太<カネコ・リュウタ>
あたしらのクラスの担任で、ホストみてぇな顔をしてる。



まぁ、クラスっつても、全学年の女子合わせても9人しかいねぇけど。
だから、1クラスしかねぇし。



「つーか、なんで、こんな静かなわけ?」



ヤンキー高校、しかも男子棟の廊下だよ?



「絶対おかしい」



今日なんかあんのか?



「かかってこいやぁぁ!!!!」
バキッ!



うーん、うーん唸っていると、鈍い音とともに男の声がした。


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