大好きなヒト
後ろから男の声がした。



誰に言ってるかわからないのに、




何故かあたしは足を止めてしまった。






「え..」


「聞いてる?」


あたし...?






「長い髪おろしたいのはわかるけどさ、
暑くね?」



「え..あ、
結ぶのがめんどくさいだけ」



その男の声は低くて、
でも落ち着く声だった。



「ぷはっ!
めんどくさいのかよっ!」


男はお腹を抱えて笑っていた。



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