苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・旅行

クリスマスに結婚式を行う人のことをなんていうか、私はよく心得ている。

――自分本位のワガママ――

何故なら、クリスマスには他の人にだって絶対に予定があるはずなのに、それを結婚する二人のためだけに使え、と。
突きつけるのだから。

そして。

気づけば私の周りには『自分本位でワガママ』な奴らしか居ないことに気がついた。

披露宴は、お正月にやればいい、みたい。
だから、結婚式はどこかでそーっとやれば、いいんだけど。

私の憧れはやっぱりモルディブなの。
テレビで見た、あの白い砂浜が忘れられない。

だから、新婚旅行と、結婚式を兼ねて大雅と二人でこっそり行けたらいいなーなんて、夢見てたんだけど。

「愛娘の結婚式が見れないなんて、パパは哀しいっ」

と、真剣な顔でパパが訴えてきたので、その案を却下するほかなくなった。

「折角楽しい旅行になると思ったのにー」

まだ、10月。
でも、予定は早めに立てようと、雑誌を買い込んで眺めていた私は、大雅に向かって唇を尖らせた。

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