苺祭的遊戯(ショートストーリー集)
パパが満面の笑みを浮かべる。

「そうでしょう?
 大雅くん。
 折角小学校最後のイベントとして、参観日と三者面談があるっていうのに、都さんがちっとも誘ってくれなくて困ってるんですよ」

くぅううっ。

お兄ちゃんがきらりと瞳を煌かせた。

「いいですね、それ。
 私もご一緒しても?」

「し、しなくていいですっ。
 っていうか、お兄ちゃんは保護者じゃないよね?」

「おや、きっとその書類には父兄の方へなんて書いてあるんじゃないですか?」

あったとしても、実際のところ、お兄ちゃんは赤の他人じゃないですかっ!!
……とはさすがに言えず、私は言葉を失った。

「では、私が改めて書面でご案内させていただきますね」

清水が丁寧に二人に頭を下げる。


ぜーったいに当日、病気になってやるんだからっ。
わたしは三人の楽しそうな様子を見ながら、そう、心の中で誓っていた。


Fin.
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