苺祭的遊戯(ショートストーリー集)

・七夕(09.07.07)

七夕


『ねぇ、どうして織姫と彦星は、年に一回しか会っちゃいけないの?』

学校から帰ってきた都さんが、頬を膨らませてそう言ったのは、いつのことだったか――。
小学生のときだったことは間違いない。

清水は自分の記憶を辿る。

『どうしてって言われても。
 そういうことになってるんですから、仕方が無いじゃないですか』

『仕方ないなんていう、一言で片付けないでよ。
 それに、今日、雨が降ってるんだよ。
 そしたら、もう、来年まで会えないってこと?
 そんなの、かわいそうじゃん。
 なんとかしてよっ』

一気に捲くし立てた後。
彼女は、制服のまま、ランドセルすら背負ったままに、わぁわぁと泣き出してしまった。

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