白と黒と永遠と。
ブツッ。

通信を一方的に切り、空に放り投げる。

綺麗な放物線を描き、通信機は白に落ち、やがて白に消えていった。

にゃあ。

懐のクロを見る。

少し寒そうに体を震わせていた。

僕は、クロをぎゅっと抱きしめた。

少し苦しそうにしていたが、震えは止まった。

あったかいな。

でも。

「やっぱり……」

そこに誰もいないにも関わらず、僕は誰かに向かって、呟くように。

「やっぱり、君じゃなきゃ、腕があまっちゃうよ……」

雪がぼやけて見えるのは。

意識が遠のいているからなのか。

それとも、涙を流しているからなのか。

どちらにせよ。

世界が白いことに、変わりはなかった。
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