チェンジ‐ため息の行方
 確かに突き詰めてみればそれは多分まさにかつて自分が愛した事のある女に対しての、男の醜いまでの嫉妬?と未練?がブレンドされた思いに他ならなかった。

 ちなみに貧乏な自分の家の下に生まれた不憫な我が娘。そして裕福な家で何不自由なく暮らしている昔愛したことのある女の娘。この事が小杉には何故か無性に腹立たしかった。簡単に言ってしまえば小杉をこの犯行に駆り立てた最たる理由はいわゆるそんな男の身勝手な思いからだった。

 そんな小杉の屈曲した心は小杉の心の中で、歪んだ形のまま形成されてそしてやがて大きく膨らんでいった。そして小杉自身派遣先で屈辱的な扱いを得て人生を歩むうちに、更に人に対する感情が希薄になっていった。

 つまりは小杉はそのような心の推移を辿ったいきさつでもって、段々に激しく心を突き動かされて、とうとう自分の娘と同時期に生まれたその女の子供と自分の娘をチェンジしようと思いついたのだ。
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