チェンジ‐ため息の行方
 そしてまもなく女の若い事務員がお茶を持って来てテーブルの上に置くと隣の部屋へと消えた。

「早速だが君、履歴書を見せて貰えないかな」
 と言うその尚人の言葉に

「はい」
 と言って桐島は小さなセカンドバックから履歴書を取り出すと、尚人に差し出した。

 そして尚人は桐島から受け取った履歴書を眺めながら
「桐島昂君か。ほう、今まで車関係の派遣社員として働いていたんだね。まあ、この不景気で自動車産業は経営が苦しくて軒並み工場閉鎖が続いているからな。その結果派遣社員で働く身としては苦しい立場を余儀なくされているね。あっ、話は変わるけれど探偵稼業と言うのは、君が今までしてきた物作りの仕事内容とはガラリと変わるけれど、大丈夫かい?」
 と尚人は桐島にそう聞いた。

「はい。雇って頂けるんでしたら精一杯がんばりたいと思います」
 と言って桐島は頭を深々と下げた。

「ふむ。そうか。じゃ、まだこの後2・3人の面接の予約があるから合不の連絡は後日改めて知らせる事としよう。では今日はご苦労様」
 と言って面接は終了した。
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