チェンジ‐ため息の行方
『はあ?!確かに赤ちゃんは一瞬の間にすりかえられたはず……?』

 だがその若い女性は自分の赤ちゃんが取りかえられた事にも別段気づくふうでもなく、そのまま椅子に置いていたベビー用品がチラリと覗くトートーバックを持ち、上着を着るとそのままバギーを押しゆっくりと歩き出した。

 桐島は早速気づかれないように傍に停めてあった車に乗り込むと、その女性の後をつかず離れずの位置を保ちながら、追った。

『う~ん。なんのために赤ちゃんはすりかえられたのだろうか?』と漠然とそう思いながらも今現在無職の桐島は、偶然目撃したその出来事に即座に反応した。そしてその場で桐島は動物的感を働かせ、そこに確たる金の匂いを嗅ぎ分け心の中で静かにほくそ笑んだ。
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