流星
「……お前、彼氏は…」
「…振られた!」
「……ふ、?」
「1番好きな人のこと、勇人って言ったら振られた……意味わかんない」
――1番好きな人?
ちょっと待て、俺も意味わかんねぇ。
星奈は結婚するはずだった彼氏と別れて、今はフリーだし結婚もしないっつーこと…?
「お前マジで酔ってるだろ…」
「酔ってないよ、本当に」
「ちょっと待て……」
「別にいつでもよかった」
「あ?」
「本当は勇人に会えればそれでよかった。自分の気持ちが健兄に向いてるのか勇人に向いてるのか知りたかっただけなの」
「…高校のとき?」
問うと、星奈はこくんと頷く。
そしてそのまま話し続けた。
「だけど、それだけじゃ済まなかった。会ったらどんどん気になったの。彼氏と結婚の話になっても違和感があった…」
じっと星奈は俺を見た。
幼いころ願った夢が叶うかもしれない。
『俺にとって大切な奴が、俺を好きになってくれますように』
それが今、叶うかもしれない。
「あのね、あたし勇人のこと――」
言葉を続けようとする唇をそっと塞いで、俺はそのまま星奈を抱き締めた。
戸惑いながら星奈も俺の背中に手を添えた。
願い事は1つだけ。
律儀に守ったから、叶えてもらえたんだな。