“俺様”大家の王国



「ちょっとだから大丈夫だろ! ほら、仰向けになる!」
 
ためらいはあった。

だって、多分床は掃除していないし、部屋の隅には埃が大分積っている。

潔癖症じゃなくたって、ここに寝っ転がるのは嫌だ。
 
でも、いいか。どうせこれが終わったら、シャワーを浴びるんだから。

「ちぇっ!」
 
私は不満を一言に抑えて、言われた通り横になった。

「……そう、目をつぶって集中……胸じゃなくて、腹を意識して、ゆっくり……」
 

ミエロが指示を出した。
 
でも、なかなか難しい。出来るけど、安定しない。

そのうちミエロが、静かな曲を弾き始めた。

これにテンポを合わせろ、って意味だろうか。
 
私は、曲とお腹に集中して、大人しくする。

だんだん慣れていく気がした。



一方その頃、ミエロはピアノを弾きつつ、物思いにふけっていた。


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