“俺様”大家の王国



もっと抵抗すると思っていた奈央が、意外にもあっさりとこの話を引き受けた理由は謎だったが、

イケメンな自分が必死に頼み込んだ結果だと思えばいいだろうと、納得した。

けれども奈央は、歳が上なはずのミエロに平気できつい事を言ってくる、変わった子だ。

図々しいのとも、ちょっと違う。

しかし、気が付いたらミエロは、パレスの中で奈央にだけは、結構本音を喋っていた。


奈央は、真面目で凛としていた。

その雰囲気は独特で、よくいるきちきちの型にはめた真面目ちゃん、というより、

それをしなければ死んでしまうから、という理由で行動しているように、どこか野生動物めいていた。


広い大地を駆ける肉食獣は、――例えば、ヒョウやチーターといった動物は、案外弱い。

大きな牙や、柔軟な体、俊足を持ちながらも、

草食動物の逆襲に遭って、巨大な角で腹を突かれて呆気なく死んだりする。

狩りが下手なら、誰にも助けられずに飢えて死んでいく。

ヒョウやチーターは、ライオンのように大きな群れを作らないのだ。


彼等はいつも、ぴんと張り詰めた緊張の中にいる。



< 318 / 534 >

この作品をシェア

pagetop