“俺様”大家の王国




あ、あの女ーっ……!


ミエロは、奈央がシャワーを浴びている間ひとり、自棄ピアノに明け暮れていた。

苛々しすぎて、どんどんテンポが上がっていく。


トルコ行進曲を倍速、倍速、倍速……! ああ、指がもつれる! ちきしょー!

「……っあーもう!」

ミエロは、鍵盤をボーンと叩いた。

思いの外乱暴な音が響いて、どきりとする。


待てよ。どきりとしたって事は――つまり、罪悪感を感じた、という事か?


この程度の事で……どんだけ肝が小さいんだ、俺は……。


じゃなくて、あいつが悪いんだ、奈央が!

俺の勇気をあっさり踏みにじってー!


うがー!



< 329 / 534 >

この作品をシェア

pagetop