“俺様”大家の王国



普段のラフな格好からは想像もつかないほど、ばっちり背広を着こなして立ち尽くしていたのは。

帰宅した十郎だった。


「……どこから聞いてた?」
 
ミエロが恐る恐る尋ねると、

「『るっせー責任取れ! もう一回だ!』の辺りから……」
 

あ、これ良からぬ誤解を受けてる。
 
奈央が思った通り、十郎はとても低い声で、怖い顔で、言った。

「……二人とも、随分仲良さそうですね」
 
心なしか、十郎さんの背後から、どろどろとした怖い影が見える気が……。

「待て、十郎お前は特大の誤解をしている」
 
ミエロが、動揺しつつも彼の怒りを解こうと、十郎さんに近付いて行った。

大丈夫かな、危なくないかな。
 

しかし奈央としては、微妙な話だった。

先日、十郎からセクハラ紛いの悪戯をされた身として、

わざわざ十郎の為に自分の身の潔白を証明するのも、おかしいと。

 

しかし、奈央が言うべきか言わざるべきか迷っている間に、十郎とミエロは口論に及んでいた。


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