“俺様”大家の王国
的場さんは、私の忠告を聞かず、簡単にグラスを空けてしまった。
しかも、全然酔ってなさそうだ。顔すら赤くなっていない。
で、どうしたの今日は
「え、……えーと、さっきの悲鳴なんですけど。
私、驚いて、何が起こったのかと思って……」
なんだ、クレームじゃなくて、単に心配して来てくれたの?
「まあ、……そんな感じです」
ふーん。そっかあ……ありがとうね。でも気にしないでいいのに
さっきねえ、ネットオークションで、負けたんだぁ……。ほんの一秒二秒くらいの差で、別の奴に狙ってたものかすめ取られたの……
的場さんは傍らにあったノートパソコンを開いて、くすんとなった。
ディスプレイに映し出されたのは、何かの箱みたいだった。
数量限定発売のDVDボックス……絶対これ欲しかったのに
問題は、それが何かのアニメキャラみたいな事だった。
顔の半分くらいある大きな目、不自然に大きな胸、妙に丈の短いスカート。
いわゆる、萌え系……。
「それは……残念でしたね」