“俺様”大家の王国



「わ、私は上の階に住んでる緒方奈央です。料理係の……」
 
途端に、青年はとても奇妙な顔をした。

美形が台無しになるくらい目と口を大きく開き、「マジで!」と叫んだ。


「君が!」


「……あの、何の話ですか?」


「ああ、そうか。君は知らないのか。……ゲホン。

では、改めて自己紹介。

俺は、君の隣の部屋に引っ越してきた小林一月。名刺……」


青年――もとい小林一月は、小犬を片手で抱き直し、もう片方の手でばたばたとポケットを探り始めたが、


「名刺……は無いから今はいいや。

えーと、何の話だっけ……あ、そうそう! 

俺は、名探偵をやっていまーす! 


ちょっと前に、紅原綾子の依頼で、君を探していたんだ♪」



「………え、えええ!?」


「あはは驚いてる驚いてる」



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