“俺様”大家の王国
「あああ当たり前です!」
「まあ、結局は途中で断念したんだけどねぇ……」
「え……? それ、どういう事ですか」
「んー、まあ、いいかこの際話しちゃっても。
君の件に関して、『上』からストップがかかったんだよー。
即刻中止せよっていうふうにね」
「な、何それ……!」
「うん、俺も『何それ』って思った。
やっぱ、調査される方も中途半端は嫌だよね?
どうせなら、徹底的に調べ尽くされた方が良かったよね?」
「いや、それは無いですけど!」
以前、十郎さんは口を滑らせて、「探偵の心配はなくなった」と言っていた。
仮に、彼に何らかの権力めいたものがあるとしたら、
今回は、それを行使して探偵の調査を妨害した事になる。
(権力……って、何だろう?)
漠然と思ったものの、あまり適切なイメージが出来ない。
(もしかして十郎さんは、『や』が付く怖い人なのかなぁ……)
背中に、般若だの竜だの虎だの、化け物じみたおどろおどろしい刺青があったらどうしよう……。