“俺様”大家の王国



「……ここって、ペットOKだったんですね」

「んー、何かね、俺だけ特別みたいだよ? 

本当は駄目だったらしいんだけど」

「へえ、不思議ですね。……でも、いいなぁ」

「………?」

「…………」

「君も犬欲しいの?」

「いえ、別に犬じゃなくてもいいんですけど……

ただ、一人っきりだと、たまに凄く、寂しいからなぁ、と思って……」
 

日中に帰宅できるときは、まだいい。

けど、この寒い時期――日が短くなっていく今、電気の点いていない暗い部屋に、


たった一人で帰って来なければならないのが、少々つらかったりするのだ。


「そーれ、しばちゃん……」
 

小林君は、何の躊躇いもなく小犬(しばちゃん、というらしい)を床に下ろした。

柔らかい足音が軽快に響く。


(あ、断りもなく他人の部屋に動物を……)
 
潔癖な人は嫌がるんじゃないのかな、と思いつつ、

勢い良くリビングへ駆け出したしばちゃんを慌てて追いかける小林君を眺めていたら、


彼はしばちゃんを捕まえながら振り返った。


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