“俺様”大家の王国
「………?」
「……分かんない」
「? ? ?」
小林君は、背中をこちらに向けたまま、答えた。
「……俺ね、記憶が無いんだ。
子供の頃の。
……ん? 違うな。
何年か前まで、って言った方が正しいかな」
「えっと、それって……」
覚悟を決めていないというのに、いきなり重い過去の話が始まった。
「俺ね、拾われっ子なの。
雨の日に、岩井さんっていう今の上司に拾われたんだ。
それこそ不良が捨てられてる小犬拾うんみたいに。
ベタでしょ。
でも、それより前の事って、覚えてないんだ。
この歳までどこで何してたんだか、本当は何て言う名前なのかも……」
それが、一月だった。
そして、たまたま近くにあった段ボールに、『サトイモのこばやし』と書いてあったので、
彼を拾った岩井は、躊躇わずに彼に『小林一月』と名付けた。
「で、今は名探偵やってまーす。イエーイ」