“俺様”大家の王国




その後は、それぞれが自分の仕事を始めた。

異様な光景だった。


家族でもない三人が、自分の家でもない場所で、それぞれ作業をしている。


私は料理。

ミエロは、不本意そうに床掃除。


小林君は引き続き、風呂掃除を。



(だけど、これが『家族』だったら……)



私は、年末の大掃除を思い出した。


何だか、ちょっと楽しい。



「……っぐしゃん!」



鍋から顔を遠ざけてくしゃみをしていたら、ミエロがティッシュを差し出してくれた。



「ん、……ありがとうございます」


「風邪引いたか?」


「さあ? まだ何とも……」


「喉を傷めないようにしろ。


加湿器付けたり、飴舐めたりな」



「はいはい」


加湿器なんて、持ってないけど。


飴も持ってないけど。




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