“俺様”大家の王国
十郎さんも、そうだった。
ふざけてるようで、たまに不意打ちみたいに弱音を吐いたり……。
着替えていると、そのうち階下から、ミエロと小林君の口論が聞こえてきた。
「何で床が水浸しなんだよ!」
「はーい、シャワーの水かけたからですー」
「誰が掃除すると思ってんだ!」
「…………掃除係の人?」
「俺だよ!」
どうやら、小林君が床をそのままにしていたところに、タイミング悪くミエロが来たらしい。
「大体、さっきの悲鳴は……!」
「あ、私です……!」
急いで駆け付け、ドアを開けるなり答えると、ミエロがびくりとなった。
「奈央……。
あれ? 髪、濡れてるのか?」
あまり気にしていなかったが、私の頬には濡れた髪がはり付いていた。
指で払いながら、さっき起こった事を訊かれるままに話すと、ミエロは更に驚いた。
そしてそのまま彼は、唖然と小林君を見やった。
完全に、呆れ返った表情だ。
もはや、怒る気も起こらないらしい。