そもそも私は、藤士というこの男が嫌いだった。

小さいころから知っているが昔から空気のわからんやつで、どんなときでもにこにこにこにこ。怪我しても笑う、怒られても笑う。

そんな、呑気に笑ってるアイツを見て、いったい何がおかしいんだ、って、昔はよく苛ついてた。


文才だけが取り柄のしょうもない男。

日本人らしくない色素の薄い髪が特徴で(思えば奴は小さいころ、これを理由によくいじめられていた)、笑ったときに目じりに深いしわができる。

そして。
何かとおかしなものを拾ってくる癖があって、ついでに厄介事にも首をつっこんでしまう馬鹿だ。

でも、さすがに人間を拾うのはやめとけよ―。あの日、女を担いで家に来た馬鹿をみて、私は心底あきれたんだ。






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