Damask Rose [短編集]
「あなたはただの幼なじみなのよ!」
「ストップ」
私たち2人の間に手を差し出して止めに入ったのは、壱也だった。
「…壱也君」
「さっきも言ったけど、俺は付き合う気はないよ」
やっぱり告白の相手、だったんだ…。
「この子がいるからでしょ!幼なじみに遠慮してるの?!」
「確かに柚がいるから俺は付き合わない」
それって私が邪魔してるってこと?
目頭が熱くなって、涙が零れそうになる。
「ほら、やっぱり」
「俺は柚以外いらないから、だから付き合わない。勝手に勘違いされたら、困る」
必死に堪えていた涙が流れた。
「柚と話したいから、2人にして。ごめん」
一瞬躊躇って、だけど直ぐに彼女は去っていった。
それから壱也に促されて、教室の中に戻った。
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