母の心音(こころね)
「今日は七月十一日や、主人と二人の朝ご飯の後片付けをしながら、いろいろと世の中のことを考えたんや。あの頃は一杯の食器を片付けた。そりゃ大変やったけどな。今は二人分だけや、直ぐに片付いてしまうんや。そう思ってな、自分だけが寂しいのやろかってな。そしてな、茶碗を洗いながらふと出たんや。皆んなそうや、子供を自分の手元において、どっかりと子供に寄りかかって居るんや。そりゃ寂しないし、仕事を手伝うてもろて楽や。だけどな、子供の将来は知れたものや。子供が押し潰されて居るように思うてな。子供の将来を思うと、寂しいのはちっぽけなことや、そう自分に言い聞かせたんや。人生はな、考え方一つで、明るくもなり暗くもなるってな。少し気が楽になったんや」



人生は
考え一つで明るくも暗くもなると
我は思いぬ


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