母の心音(こころね)
「今日は八月二十三日や。孫達も帰ってしもうたわ。これで夏休みも終わってしもうた。また独りぼっちや。家の前の線路の土手のな、草刈をしとった時やった。日暮蝉がな互いに慰めあうようにカナカナって鳴くんや。この蝉の声な、そりゃ寂しく聞こえるんや。一日の終わりを告げるように、夏休みの終わりを告げるように、人生の終わりを告げるようにな。そりゃ、物悲しく聞えるんや。吹く風も秋風を感じるんや。孫や子供達や、老い行く自分のことを思い、夏に名残惜しまれるように聞えるんや。日暮蝉もこれで一生を終えるのかと思うとな、そりゃ悲しいものや」
日暮しの
声を聞きつつ草刈の
過ぎ行く夏が惜しまれるかな
日暮しの
声を聞きつつ草刈の
過ぎ行く夏が惜しまれるかな