母の心音(こころね)
「五月の連休に、鳥羽の長女の家に行ったときや、長男の嫁から電話があってな、末娘が帰って来たってな、長女ら一家と一緒に、急いで車で帰ったんや。久しぶりに末娘の顔を見て、そりゃもう、嬉しくて嬉しくてな。だけどな、連休の束の間や、また別れんとあかんのやとな。そう思うとなおさらのことや」



子に会えて
嬉思いも束の間に
またも別れの長き月日が



「長男一家と、長女一家と、末娘が揃たんや。だけどな、末娘だけが独りや。そう思うてな、末娘の姿を見ると、そりゃもう、哀れでな」



何故なのか
婚期遅れし娘子の
独り姿を見るも愛しく
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