SKY~伸ばしたその手の先~
プロローグ

追いかけてくる足音。
捕まれる腕。
男の残酷な笑みに絶望感が押し寄せる。
もう声もでなかった。
涙だけがただ壊れた機械のように私の目から零れ落ちる。

そうして私は汚された。

家に帰ってシャワーを浴びても、
服を着替えても
もう私は普通には戻れない気がした。
私を見つけてくれた先生はずっと震える私の背中をさすっていてくれた。

「大丈夫、大丈夫だよ」

何が大丈夫なんだろう。
ただその言葉は呪文のように私の身に記憶された。
あれから震えがやってくるたび、
私は唱えずにはいられない。

「大丈夫、大丈夫」


手を伸ばしても救いはこない。
神様なんていない。

それでも明日はやってくる。
私は大人になってしまった。
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