pain

逃亡者

学校を辞めた僕は
一日中自分の部屋に閉じこもって音楽を聴いていた。
そのうち本来の自分の好きだった絵の世界に目覚めることになる。

昼夜逆転の日々
でも、充実していた。

僕は外出もほとんどせず好きなマンガの創作に励んだ。

学校を辞めたことは幸いだと思った
好きな絵だけを
好きなだけ好きな時間に描いていられることは至福の喜びだった。


自他共に僕の絵の技術はメキメキと伸びていった


でも僕の生活態度は、両親の心配のもとだった
母は僕に内緒で精神科のクリニックへ通っていたし
僕の状態を事細かく精神科の先生に報告して
僕の学校に行かない理由も調べようともせずに
結果だけで僕の異常行動と勝手に決め付けていた。


ぼくはそんなことはうすうす感づいていたし
そんな母や大人たちの行動に翻弄されることも無かった
僕は自分の信じれるものが自分の絵だけだと感じていたし
力試しに地元のローカルの新聞社のイラスト投稿コーナーに作品を
何点か郵送していた。

結果的にそのことでオファーをもらった
僕は有頂天になっていた。

それから半年
僕の生活は相変わらずだったが
何度も地元の新聞社でのイラスト賞の受賞から
僕はついに連載マンガの仕事をもらえた

内容は自由だった。
ただ 誌面の一ページハガキ大くらいのスペースに
一週間に一枚何かの図案を載せるという物だった
僕は快く引き受けた。


その日の次だった
母がひそかに通っていた精神科のクリニックの先生が
僕に一度会っておこうと
往診という形で僕の家に訪れたのは。
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