†Orion†


恐る恐る振り返ると、そこには帰ったはずの杉浦さんが制服姿で微笑んでいた。



「なんで……、杉浦さんが……」



すぐ後ろにいた弘美から、咄嗟に離れる。

まるで、俺とこいつは知り合いじゃありません、と言わんばかりに。


驚いている俺に、杉浦さんは表情ひとつ変えずに言う。



「うん、関川さんとこのチビちゃんが熱出したって保育園から電話があって。急遽、5時までになったの」



なんだってこんな日に限って……


突発的な子供の熱なんて、仕方のないことだって分かっている。

だからって、こんな日に……。



「あら、お友達?」



とことんツイてない、と、奥歯を噛み締めていると、杉浦さんの視線が弘美の方へと向けられた。


< 47 / 359 >

この作品をシェア

pagetop