ワルメン上等★恋したアイツは危険な男
春斗は電話しながら、部屋を出て行った。
部屋には翔平と2人っきり。
あたしは、いつまでもタヌキ寝入りしている訳にも行かず、革張りの真っ白なソファーに腰掛けている翔平に

「…ぁの~」

と声を掛けた。

あたしの声に気が付いた翔平が、ゆっくりとあたしの方に視線を向ける。

「昨日…あたしの事助けてくれたのって…‥翔平?」

翔平は、あたしの方を見て、すぐにあたしから視線を逸らす。

「誰に助けられたかも分かんねぇ程飲んでんじゃあねぇよ」

あたしは急いでベッドから降りて翔平の側まで行って
「あの、翔平、昨日は助けてくれてありがとう」とお礼を言った。

なのに翔平は、こっちを全く見ない。ただ、黙々と煙草を吸ってる。まるであたしの事なんか存在してないみたいに。
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