紅き天
居間で座布団に座っていると、戸が叩かれた。
誰だよと毒づいて戸を開ける。
そこにはいつぞやの花が立っていた。
面食らって一瞬頭が真っ白になる。
「疾風…。」
その間に抱きつかれてしまった。
「会いたかった。」
俺は会いたくなかったよ。
急いで花を引き離す。
静乃は今上で寝ているが、何かの用で降りてきたら厄介だ。
ただでさえ今、あいつの機嫌は悪い。
「お前、何だよ。」
「会いに来たの。
疾風が大変だってお父様から聞いたから。」
お前が来たほうが大変なんだよ。