あなたを求めて
出会って

 あたしと太一が出会ったのは高校の入学式。
 あたしは一番後ろの窓側の席。
 太一はあたしの右の列の後ろから3番目だった。

 入学して3日くらいは全く話さなかった。
 でも、前の席の大西君とよく話してて、その話に時々耳を傾けていた。
 2人は出身中学は違ったみたいだけどサッカーってゆう共通点で仲が良かったみたい。
 そのなかにあたしの兄の話が出てた。
 あたしの兄は元々この高校のサッカー部で一年のときからスタメンだった。
 小学校のときから兄の優勝とか、準優勝とか当たり前だったから気づかなかったけど、結構有名だったみたい。
 だから、太一も知ってたんだろうな。

 はじめて、太一の名前を知ったのは3日目のLHRの自己紹介。
 一人ひとり教卓の前で話すわけで、そのときに初めて太一の顔をまじめに見た。
 カッコいい・・・とは思わなかった。
 第一印象は背が低いかな・・・って思った。

「佐藤太一です。出身中学は―・・・」

 佐藤君か・・・
 ただそれだけしか思わなかった。

 それから、初めて話したのは高校の遠足のとき。
 行きは元気よく先頭をあるいてたんだけど・・・帰りは面倒になって後ろをゆっくり歩いてた。
 そこにたまたま太一がいたの。
 太一は近くを歩いていても背が低いなって思った。
 あたしは思ったことをすぐ言っちゃうタイプだから

「佐藤君って身長何センチ?」

 って後ろから声をかけた。

「・・・そこ聞く?」

 笑いながら振り返った太一はいい人だなって思った。

「気になるもん」

 ってあたしは言う。
 太一のとなりを歩いていた大西君が言った。

「香川さんと変わんないよ」

 だって。

「じゃあ163cm?」
「んまあそれくらい」

 ホントはもうちょっと低いんじゃないかな・・・笑
 それから太一の中学の時の噂の事や、サッカーのこと、部活のことや、このクラスのこと・・・
 結構話したと思う。
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