真夜中の太陽

違うよって言ってよ。

三ヶ月前に事故で亡くなったのは永輝と同じ名前の、全くの別人だから、心配しなくていいよって言ってよ。



「…………」



晶くんは、確かめるように聞いたあたしの問いに無言で頷いた。



「……かんなさんも、一緒だったのよね」



絶望しながらも、フェイントをかける。

晶くんは素直に頷きながら、言葉を続けた。



「じゃあ、二人が結婚することも知ってた?」

「それは初耳。そっか、そこまで話が進んでいたんだ。知らなかったなー」



バカみたいに、あたしは笑った。

瞳から何かが零れ落ちているのに、それが涙であることにも気付かなくて。



永輝が死んだ。

かんなさんと結婚するはずだった。

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