真夜中の太陽

君が僕のことを嫌いになってくれたらいいのに。


僕が君のことを嫌いになれたらいいのに。


そんなことを思いながら、僕は君の口を塞ぐようにして無理やりキスしたんだ。




『中に何が入っているの?』



『――愛情』



悪あがきだったのかな。

ストレートに伝えることなんてできない、でも少しくらいは分かってほしい。

自分の気持ちにオブラートをかけて伝えたけれど……君は気付いてくれていたのかな。




『……ありがとう』



最後に君と会った日の朝。

君の部屋を出ると、僕はいつも振り返りもせずに真っ直ぐ前だけを見て歩いていくのに。

あの日は……初めて君の方を振り返った。

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