真夜中の太陽
あたしは諒子がここにはもう戻らないことを確信した。
部屋に戻ると、結崎さんはぼんやりとした顔で座っていた。
諒子たちが買ってきたジュースを注いで結崎さんに勧める。
「タバコ、吸ってもいいですよ」
村岡くんが飲み干したビールの空缶を灰皿代わりとして結崎さんに差し出す。
「うん、ありがとう」
そう言って、結崎さんはポケットからタバコを取り出すと火を点けて一息つく。
細長い指で持つタバコ。
ゆらゆら揺れるタバコの煙を交わそうとする時に目を細める表情。
そんな何気ない仕草にドキッとする。
―――すべてが、あたしの心を奪い去っていく。