pp―the piano players―
 酒井君の腕が伸びて来て、わたしの頭をぽん、ぽんと叩いた。
「知りたいと思うことじゃないかな」
「え?」

 酒井君は、手を置いたまま話す。
「認めるって」

 電車の中での話の続き。

「もっと違う言い方があるかもしれないけど。今の僕は、そう思う」

 知りたい。
 掴めそうだったものを、酒井君の定義が少し、手の届かないところへ動かした。また、掴めなくなった。
「わからない、って顔してるね」
 反論は出来ないから、頷く。酒井君は手を離して、言葉を繋いだ。
「さっきの人は、白峰美鈴のピアノをもっと知りたいと思ったんじゃないかな。音色や人物を、ね」


 酒井君は、そう言って席を立った。慌てて視線を上げると、「I got to go」と笑っていた。
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