pp―the piano players―
***

『ただ今より、十五分間の休憩に入ります』

 前半の演奏が終わって、休憩となった。アナウンスと共に、客席の照明が点いた。

「すごい……」
 酒井君がため息と共に声を出した。
 わたしは、目の前で繰り広げられた鮮やかな音楽に、まだ胸がドキドキしている。演奏されたのは、ショパンの『アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ』。女性が弾くとは思えないような力強さと華やかさは、様々な原色のペンキをぶちまけて描かれた大きな絵のようだった。

「ピアノってすごいなあ」
 わたしも頷く。
 同じ楽器で奏でているなんて信じられないくらい、弾く度に違う音を生み出す。

「僕らと同年代なんだもんなあ……うかうかしていられないな」
 その意味がよく汲めなくて、振り向く。
「ピアノを?」
 そう聞くと、酒井君は一瞬きょとんとした。それから、くしゃっとした笑顔を見せて首を横に振る。

「自分ができることを、しっかりやらなきゃなって。そう思わずにはいられないんだ」
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