pp―the piano players―
「つまり、俺たちが先生の運命を捻曲げたんだよ」
 更に声が低くなる。
「俺も、早紀も、加瀬も」

 そう言って、圭太郎君は階段を駆け上がって行ってしまった。加瀬さんは紅茶を飲み干して、テーブルの上を片付け始める。わたしは椅子から立ち上がり、階段を上る。

 先生がレッスンに使うのは、二階の一番手前の部屋。えみちゃんの弾くピアノの音が、僅かに聞こえて来る。その部屋の隣にある階段を上り、三階へ行く。その一番奥に、圭太郎君のフルコンが置いてある。

「圭太郎君」

 ドアは開けっ放しだけれど、部屋に入る前に一度声を掛ける。返事はない。椅子に腰掛け、むすっとした横顔が見える。わたしはゆっくりと足を踏み入れた。
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