時計塔の鬼
「ちょっと聞きたいんやけどさ」
さくらは微かに顔を俯けていた。
高い位置で結わえられた髪がその顔にかかっていて、彼女の表情は見えなかった。
「鬼って浴衣着なあかんって決まってんの?」
「プッ……」
思わず、吹き出してしまった。
そんな自分に、ひどく驚く。
俺らしくもない。
「聞きたいのはソコか?」
この少女の目の付け所は、面白い。
心がワクワクと弾んで、楽しくなって来る。
人間は、本当に愉快な生き物だ。