時計塔の鬼


「ちょっと聞きたいんやけどさ」



さくらは微かに顔を俯けていた。

高い位置で結わえられた髪がその顔にかかっていて、彼女の表情は見えなかった。



「鬼って浴衣着なあかんって決まってんの?」


「プッ……」



思わず、吹き出してしまった。

そんな自分に、ひどく驚く。

俺らしくもない。



「聞きたいのはソコか?」



この少女の目の付け所は、面白い。

心がワクワクと弾んで、楽しくなって来る。

人間は、本当に愉快な生き物だ。




< 120 / 397 >

この作品をシェア

pagetop