時計塔の鬼
だめだ。
頭の奥で、本能が警鐘を鳴らす。
行かせては、いけない。
進ませては、いけない。
夕枝……、行くな。
行くな!
行くなっ!!
「夕枝っ!!!!!」
夕枝はゆっくりと、だが、確実に歩き出した。
校門へと。
あの時の焦りが、驚きが、悲しみが、俺を黒い海にウプズプと深く深く沈めていく。
動きたいのに、動けない。
駆け寄りたいのに、出られない。
助けたいのに、助けられない。
やめてくれ……。
やめてくれよ。
必死で願う、けれど――。
――キキーッ!
――ドンッ…