時計塔の鬼
美しい、鬼の瞳。
魔性の瞳だ。
その瞳が心底心配を表して、私を覗き込む。
ポー……と顔が紅くなったのが、自分でもわかった。
どれだけ経っても、私がこの手のことに慣れることはないだろう。
漠然とそう思った。
「くれぐれも、気をつけて」
「え?」
“何に?”と聞こうとしたところで、悪魔の叫び……もとい、下校時間を告げるチャイムが鳴り響いた。
学校からの帰り道を歩きながら、私は深く溜め息を吐いた。
最近、やけにシュウが過保護すぎる気がする。
気のせいかな?
そう考えて、首を左右に振り、早く帰ろうと歩き出した時――。
――ヒタッ
――ヒタッ
“何かがいる”
そう感じてしまった。
そしてそう思った途端、心臓が激しく脈打ち始めた。