時計塔の鬼
慌ててはダメ。
冷静に、冷静に。
そう思い込もうとの努力もむなしく、手足の震えは増すばかり。
……怖い、怖いよ。
シュウ。
怖い。
相手が何かもわからない。
ただ、つけられているということに対する、純粋な恐怖。
そして、今は太陽もはるか西方へと沈んだ後に残る、闇の時間だ。
助けて……。
そう思って、愕然とする。
シュウが来るはずがないことを、来れるはずがないことを、思い出したからだった。
改めて思い知ってしまったからだった。
怖い。
……どうしよう。
私が二つにぱっくりと割れてしまったかのようだ。
片方では、恐怖と焦燥感でパニック寸前の自分がいて、もう片方では、現状を冷静に見つめて考える自分がいる。
気付いているのを気付かれないようにしなくてはいけない。
けれど、怖い。
歩調は変えずに、意識して努めてさりげなく歩幅を広くしなくてはいけない。
……怖い。
今、私はどうすればいい?